【前編】 今さら聞けない!半導体株についての動向を解説
なぜ今、半導体に世界の注目が集まるのか
¶ きっかけは『生成AI』
半導体ブームの火付け役になったのが生成AI(人工知能)の登場でした。生成AIとは、大量のデータからパターンを学習し、その学習を基に新しい情報やデータを生成する技術を指します。機械学習などの手法を駆使して、あたかも人が作り出したかのように文章や画像といったコンテンツを自動で作成するものです。
生成AIが一大ブームになったきっかけは、2022年11月30日に米OpenAI社(オープンAI)が公開した対話型生成AIの「ChatGPT(チャットGPT)」です。日本経済新聞社などの報道によれば、チャットGPTの月間利用者数は公開からわずか2カ月で1億人を突破。「(ユーザー数)1億人獲得には動画共有アプリ『TikTok』でも9カ月、写真共有アプリ『インスタグラム』でも28カ月かかっている」(日経新聞)といい、チャットGPTは瞬く間に世界の利用者に広がったのです。
これまではWebサイト経由で何かを調べる際、最初に知りたい言葉や関連するキーワードを検索し、その検索結果で得られた関連記事などの中から必要な情報を取り出すのが一般的でした。しかし、チャットGPTは、人間の言葉を理解し、質問に応じて適切な回答を生成するという優れた特徴を持ちます。これがウケて利用者が世界的に拡大したのです。
¶ AI関連の大本命に浮上したNVIDIA
株式市場で半導体関連企業への注目度が高まるなか、生成AIを始めとするAI関連企業の大本命に浮上したのが米半導体メーカーのNVIDIA(エヌビディア)です。
チャットGPTなどの対話型AIや画像生成AIは大量のデータを使って処理するため、高性能の半導体を必要とし、高速大容量の情報処理に対応できる大規模なデータセンターの存在が不可欠になります。エヌビディアはGPU(画像処理装置)と呼ぶ高速の演算処理を可能とする半導体を開発しました。生成AIの動作には高性能GPUが必須で、データセンター向けではエヌビディア製GPUがほぼ独占しているといいます。
AI半導体の需要急増を追い風にエヌビディアの業績は急拡大し、2024年1月期の売上高は前年比2.3倍の609億ドルに達しました。これは米半導体大手インテルの23年12月期売上高(542億ドル)、韓国サムスン電子の半導体部門売上高(23年12月期、499億ドル)を上回る水準で、エヌビディアは通年ベースの半導体売上高で初めて世界1位になりました。エヌビディアは名実ともにAI関連の大本命として注目を集めるようになったのです。
¶ 需要急騰で盛り上がりを見せる半導体市場
エヌビディアの躍進をきっかけに、AI向け半導体の競争が本格化し、市場シェア争いも激化しています。データセンター向けのAI半導体市場では、エヌビディアがシェアをほぼ独占している状況ですが、ライバル企業も負けていません。米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)や米インテルが相次いでAI向け半導体の新製品の投入・計画を明らかにしました。
半導体全体の市場拡大期待を織り込む形で半導体関連株は軒並み値上がりし、米市場に上場する主要な半導体企業で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も大きく上昇しています。米国株は2023年以降、上昇トレンドを鮮明にしましたが、SOX指数は米主要企業で構成されるS&P500種株価指数を上回るスピードで高値を更新するなど、米株高の上昇をリードする形となりました。
ここまで、世界で半導体に注目が集まる背景を解説してきましたが、日本国内の半導体産業の動向はどのようになっているのでしょうか。
次回の記事で詳しく見ていきましょう。
引用元:https://moneyworld.jp/news/05_00127545_news
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