携帯キャリア各社は「NISA」をユーザー囲い込みの武器に

スマホ業界は今、「金融シフト」が本格化している。

KDDIがクレジットカードや銀行、証券などの金融特典を組み合わせた「auマネ活プラン」を23年9月に、ソフトバンクはPayPayとの連携を強化した「ペイトク」を23年10月に始めた。
NTTドコモはマネックスグループと資本業務提携をし、証券業に参入すると発表した。

KDDI・ソフトバンクの両プランに共通する狙いの1つが、解約率の低減だ。
KDDIによると、金融サービスの複数利用で解約率の低減効果が拡大するという。au単体の解約率に比べ、クレジットカードの組み合わせで約2割減、クレジットカードと銀行の組み合わせで約3割減といった具合だ。

※引用 24年3月期 KDDI第1四半期 決算説明資料

※引用 24年3月期 KDDI 第3四半期 決算説明資料

同じく大きな話題となったドコモの証券業参入。2024年1月から始まった新NISAをはじめ、投資が初めての人にも手軽で簡単な資産形成サービスを提供し、一人ひとりに最適な商品を提案していくという。あとは同社のポイント経済圏とどう絡めてくるかが注目となる。

新NISAは、一度口座を作ると、他の証券会社に口座を変更する手続きがとても面倒だ。まさに心理的な縛りが存在する。

積み立てで投資信託などをしていけば、気が変わったからといって、他の証券会社にまるごと積み立てた資産を移動させるということもやりにくい。

通信キャリアからすると、SIMロックや2年縛りなどの囲い込み施策が、総務省の意向で封じられてしまい、ユーザーの流動性が高められている現状がある。

金融、特に新NISAと絡めれば、ユーザーを自分たちのグループにガッチリと囲い込めるという狙いがあるようだ。

特にこれからのスマホ業界においては、新NISA関連のニュースから目が離せないだろう。

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マリク・ハーン
マリク・ハーン