長期積立投資の本質 / NISAは調整局面こそ忍耐強く

新しいNISAが始まって半年以上が過ぎました。人生100年時代と言われる中、NISA制度を活用して長期積立投資をする個人投資家は、何を重視して投資先を選べばよいのでしょうか。

 

長期投資の本質への理解

NISAは一定のブームになり、認知度も一気に上がりました。新しくNISAを始める現役世代、特に若い世代が増えています。
そんな中で、NISAで買われる銘柄はオールカントリーと称される世界株式インデックスや、S&P500という指数に連動する投資結果を目指す特定のインデックスファンドに集中しており、「よく分からないけど、とりあえず世界株式に」いった表層的な理解にとどまっている人が多い印象です。

インデックスファンドはマーケットが調整局面に入ると指数に連動して下落します。そうなったときに、表層的理解で参入した人たちが、忍耐強く長期投資を続けられるのかがポイントになります。
長期投資への理解が進んでいないと、マーケットの流れが変わった時、ショックを受けて「もう我慢できない」「騙された」「とにかく手放さなくては」と思い始めるのではないでしょうか。

このような調整は歴史上、何度もあったことですが、長期投資の意義をよく理解して欲しいと思います。非課税保有期間が無期限である理由は、エンドレスに長期投資をしようということだと考えられています。
だからこそ、株価の上がり下がりの波を乗り越え、自分が元気で生きている限り投資を続けることで、お金が育ち続ける環境を作ることが大切です。この基本的な理解が普及しないと、脱落する人たちが多く出てくると思われます。

長期投資の本質への理解

何歳からでも、資産状況に応じた積立投資のメリットがあります。例えば、退職金をもらった60代の方が2000万円を一気に投資すると、翌日からマーケットの動きに一喜一憂するようになり、心穏やかではいられません。

ただし毎月100万円ずつ投資していけば、時間分散の効果が期待できます。積立投資が心の安定装置になるのです。
重要なのは、定年後も「(資産を)育てながら、使う」という考え方。収入が年金だけになればなかなか追加投資はしにくいでしょうが、少なくとも今まで積み上げたものは保有を継続したほうがいいと考えられます。「資産寿命を長期化させよう」というのがNISAの大事なメッセージといえます。

一方、若い人であれば人生プランに即した計画的な投資ができます。20代のうちは毎月積立額が少なくても、30代、40代で収入が増えることを想定してNISAをフル活用した積立プランを立て、計画的な長期投資の導入をしてほしいと思います。ゴールが遠くにあれば、暴落をしてもあせる必要がない。株価が下がったときに買い手側に回れるのが積立投資家の最大の強みです。

 

引用:NOMURA ウェルスタイル
引用元:https://moneyworld.jp/news/05_00127545_news

執筆者プロフィール

マリク・ハーン
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